土曜日は「食と命の教室」でした。いや~暑かった
暑い中、「農家も暑い中、がんばっているんだ」と言って、高柳さんがハウス仕事でキュウリの誘引を昼間に実行したのですが、さすがに大変でした。とにかく暑かった、というのが一番です
ただ、午後のジャガイモ掘りは一転してみんな「新ジャガ」といって楽しんで掘っていました
私の畑の横だったので、参加者の一部からご希望があったスベリヒユという雑草、だけど抗酸化力が抜群で山形やギリシャなどではサラダで食べられているものをたっぷりプレゼントしました
暑かったので私も写真やらなにやら余裕が無く、耳が聞こえない方が参加しているので、その方の横でみなさんの話を文字に起こすのを1日やっているので、なかなか疲れるのです
ただ、本人が一番つらいでしょうし、それでも勇気をもって参加したということは尊敬に値するわけで、出来る範囲のことはさせて頂こうと思って今年はやっています。
もちろん、高柳さんのお話も今回もグイグイ心に刺さる言葉が連発でした。
まず、この時期は「日本家屋の話」をしてもらうのですが、簡単に言えば「ローンをして一生をかけて家を買うけどそれを1代限りでおわらしてしまう、というのは戦後の文化で、日本にはそんな考えは無かった」というもの。
建築家の隈研吾さんの話にもあったそうですが「日本では人間より家が先に亡くなる時代になってしまった」という嘆きがまさにそれ。
高柳さんの代までは「家は孫の孫ぐらいまでは持たせるのが前提」として建てたそうです。
自分の山で木を育て、雨漏りなど建て替える時期がたまたま自分の代の時にきたならば、それは「番がきたな」という発想で、棟梁に頼んで必要な木材を聞き、それを自分で山で切ってきて製材所に運び木材を作る。そしてその山には木を植えることで、100年先かいつかわからないが、また「番になった代の者」が家を建てれるようにしておく。
そして、棟梁と一緒に家を建てていく。
お金が無い家は、まずは屋根と柱と皆が住む部屋だけ作り、またお金が出来たら次の部屋や天井を張る、といったように、中には完成まで10年かける家もあったそう。それでも「ローンを組む」という考えはなく、自分の代ではなくみんなが住んで行くより所としての住まいだった、ということ。
そんな話はみなさんも知らないので、自分の欲や高く売れるからというので選ぶ家ではなく、1つの大きな流れの中にある家、というのを聞いてしみじみしていました。
また、そういった話はそうなのですが、毎回、1日の終わりで感想を言う際に涙ぐむ方が出てくるのが今年の特徴で、それが今回もおきて、ふと「あ~、この教室では当たり前になっていたけど、そうだよな~」というのがありました。
昔はガン患者さんや看護士さんや何か問題にぶち当たっている方、あるいは農薬とか環境とか言う人はちょっと変わり者という世の中だったので、4年前ぐらいは一般的な人とは違った人が来ている、という感じだったのです。
ところが、ここ3年は普通の人が普通に「無農薬」とか「地球環境」とかを言葉に出す時代になり、楽しそうにしながら普通に学んで行く時代になりました。
今年もそういった感じだったのですが、ふと思い出すと、今年も抗がん剤治療を終えて髪の毛が生えてきたばかりの人とそのご家族、大人になってから耳が聞こえなくなった人、看護士や元看護師、10年ほど前にガンになってその後に神職になったけど体調を崩した方、アトピーで夜も眠れず苦しんできた方などなど、苦しみや人生の理不尽さを感じたりつらい事を体験してきた方が多いわけです。
私も東京で働いているときにメンタルをやられ、9年ほど前に農作業のしすぎで身体を壊し、と、まあ順調ではないのですが、自然の大きさと高柳さんのような農家さんと一緒に生きてきました。
ここに参加する方はパッと見では明るい楽しそうな方が多いのですが、実際は現代社会の食、教育、医療、生き方など色々な問題にぶつかって、違う道を探したり学んでいる方ばかりなわけです。
「人には言えない悩みがある」というのが無着先生の言葉だそうですが、50歳近くで何かしら1つぐらい身体の不調や人間関係の悩みなどは持っているのが普通の世の中。それでもきちんと自分に矢印を向け自分を磨いて来た人もいるわけですが、大体がそこから不調が拡大しているのだと思います。
そこに在野の哲人の高柳さんの生き様と言葉が刺さるのでしょう。元々は有機農業の精神、自然が無ければ人は生きて行けない、人間も地球環境の中で生きているのであって自然を征服なんて出来ない、といった話が多かったのですが、ここ数年は人はどう生きていくべきか、という主題の中で自然とのつきあい方などが語られています。
それが参加者の心に響いているのですね。
私も毎年学ばせてもらっていますが、みなさんにとっても良き出会い、良き学びの場となっていて本当に素晴らしいご縁になっていな~、と実感しております。
私にとっても幸せな事です。有り難いな~と