今年最後の「食と命の教室」。
今回は、みんなが楽しみにしていた「稲わら納豆作り」です
一番人気といっても過言ではないこの「稲わら納豆作り」ですが、昔の人は、何でもわらで作っていた、ということが体感できます。
縄をゆったり、野菜を入れる容器、むしろ、かすを集めて布に入れてわら布団、などなど。
プラスティック製品が出てくる前は、色々なものがわらで作られていたんですよね~
で、稲わら納豆、といいますが、用意するのは「大豆」と「稲わら」だけなんですね。
まず、わらには色々な菌がくっついているのですが、とくに人間が「納豆菌」と呼んでいる菌が強いのです。
だから、ここに栄養豊富なたんぱく質の塊の煮大豆を入れて保温するだけで、納豆菌が一気に繁殖して、納豆になってしまうんですね~。
ということで、大事なのは稲わらで煮た大豆を入れる容器の「つと」というものを作る作業なのです。
高柳さんのところでは「つとっこ」という呼び方をしていました。
その「つとっこ」を作ります。
高柳家の無農薬の稲わらがこれ。高柳さんのお手製です
これには枯れ葉の部分もついているので、出来るだけ茎の部分だけにするよう、葉っぱを落とす作業をします。
これがその道具。
歯がついていて、この間にわらを通してこいでいく作業を「すぐる」といいます。
わらをすぐることで、余計な部分が落ちていくんですね。
わらすぐりの作業はこんな感じです。ぼんぼこ余計な部分が落ちていきます。
そのわらを使って、みんなで編んでいきます。初参加の方ばかりなので、みんな真剣そのもの。
その後、1つ1つ丁寧に編んで納豆の入れ物を作るのですが、男性は大雑把、女性は1つ1つ丁寧に作る傾向があり、仕上がりがまるで違いました
これが、ある女性の参加者の編んでいるもの。
初めてでもきれいでしょ?やはり性格がでるものですね
これをまとめるとこうなります。
さあ、これでつと作りはほぼ完成です。
ここに煮た大豆を入れていきます。
高柳家の小糸在来という大豆は、有機農業の世界では有名な美味しい大豆で、煮豆のままで十分美味しいんですよ
これを先ほど出来上がったつとに入れていきます。
入れたら、中に仲人さんと呼ばれるワラを1本入れて、結んで出来上がりです。
これを紙袋と毛布で包んで、最初は電気カーペットなどで熱を与えて2~3日経つと納豆の出来上がりです
これが上手に納豆に出来ると本当に美味しいんですが、なかなか保管が難しいんですよね~。
さてさて、稲わら納豆作りが思ったより時間がかかり、遅めの昼食。
いつも通り、お母さんの美味しい手料理でお腹いっぱいです
さて、昼食後は恒例の三浦大根の収獲です
青首大根と違って、がっしり根を張っている三浦大根。上手に抜かないと腰をやられてしまうので、高柳さんのように腰を入れて、真上から抜かないといけません。
これも上手下手がありまして、本当に農作業というのは体で覚えるものなんだと実感します
持ち帰れるだけ三浦大根を抜いた後、いつもの座談会タイム。
今回は、参加者の一人が最近みた「いきたひ」という「看取り」の映画を観て感銘を受けていて、「親の介護や看取り」の話などで、私も久々に親父のことを思い出しました。
高柳さん達、農村に暮らす60代の方々は、「親を看取る」のは当たり前でした。
だから、日常的に「うちのじいさんもそろそろだな。お前のとこはどうだ?」とか「俺ももういつ逝ってもおかしくないぞ(笑)」といった「死」についての言葉が何気ない会話でも出てきます。
確かに、同級生が地域に20~30人いて、その親がちょうど死んでいく時期なので、お葬式も毎月ありますし、市街地に住み、故郷というものがあまりない私のような立場からみれば、「生と死」というのはとても日常なんですね。
特別なものではない、そういった生活に触れることが出来て、私も少しずつ「死」というのは当たり前のものだという気がしてきました。
一方で、「いきたひ」という映画の事を教えてもらって初めて知ったのですが「看取り士」という仕事があるそうです。
「最後をどう迎えたいか?」を家族も含めて話し合い、付き添う専門家。
医者だけではそこまでケアーが出来ません。
確かに葬儀屋が全盛の時代ですが、都市部住民にとっては、日常ではない死については「看取り士」というのはとても貴重な存在なのだろうな~と思いました。
その他、高柳さんの家から車で10分ぐらいのところに住む参加者の女性のお話が印象的でした。
「私たちは、離婚なんて考えられなかった。結婚したら、もうそれで家に入るもので、仕方ないというか、それ以上はなかった。だって出ていくにも家がないしお金もないし。親を面倒みたりするのは当たり前。自分の姉が病気になって、娘たちが看病をしないで施設に入れるというのを聞いてびっくりした。今の職場もまじめに仕事をする人はほとんどいない。朝少し早く来て掃除をして、それから仕事を始めるのが当たり前だという教育を受けてきたのに、今はそうじゃないのよね。私がおかしな人なのかと思ってしまうような感じなのよ」
聞けば聞くほど「ごもっとも。いやいやあなたがまともなのですよ」と言いたくなるほど。
そうでない人は、よほど教育を受けていないのか、と思いきや、今はそれが当たり前になってしまっているんですものね。
高柳さん曰く「モンスターペアレンツというのが出てきたのが20~30年前。それが親になって育てられた子供が、親になって子供を産んでいるのだから。どういった子が育つかもうわからないよね」と。
私の周りにはそんな変な人はいないのですが、有機農業が好きなというか、ちょっと前の暮らし方を今もちゃんとやろうよ、という意識をしている人たちは、世の中では少ないのでしょうが、私の周りには多いので、それほど世の中には変なのかな~と思ってしまいます。
まあ、そんなメンバーと親世代の介護や見送り方といったディープな話も含め、普段の生活ではなかなか語る相手がいないことを、ざっくばらんに沢山語り合いました。井戸端会議というか寺子屋というか、そんな雰囲気が私もとっても楽しいです。
今年度はこれでいったん終了。
そして新年度は2月18日(土)からスタートです
食べ物のこと、農村の暮らしぶり、色々なことをざっくばらんに語り合える仲間、毎月楽しみな通う場所を作れる場所が、この「食と命の教室」です。
ご関心がある方は、ぜひ、お越し下さいね
来年度は少し参加費も下げお得にしました
毎月、まじめに楽しく語り合い学びあえる場と仲間は、とっても貴重な1年になると思いますよ。
ご関心がある方は、ホームページをご覧下さい→「食と命の教室」
また新しいご縁に巡り合えることを楽しみにしています
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