いつもこの時期は「土の世界を知る」ということで、高柳さんが2~3年野積みしていた馬糞の堆肥が土に変わっている様子を見たりするのですが、雨なのでそれは次回に持ち越し。
今年2回目とはいえ、前回参加したときにすっかりみなさん仲良くなったので、前回の気づきなども含め、教育、歴史など色々なお話をした後、本題の「土の世界」へ。
土の世界といっても、なかなか肉眼では見ることが出来ません。
そこで、ちょっと前の映像なのですが、「根の国」という土の中のミクロの世界を顕微鏡で見るというDVDをみんなで視聴しました。
現代化学農業では、窒素、リン酸、カリといった3大栄養素以外に、マグネシウム、カルシウムといったミネラルを含めて12~16成分が植物の生育には必要とされています。
それは「分子解剖学」から発したもので、ドイツのリービッヒという学者が見つけたことでもあります。
しかし、高柳さんいわく「東大の農学部の先生が、ヨーロッパに言ってみたら、自分が学んで教えていたこととまるで違っていた。あくまで堆肥や有機物などで土壌を作るといった土台があって、その上の栄養成分であって、最初から成分ありきの日本とは違っていた」・・・なんていっていたそうです。
じゃあ、土の中はどうなっているのか?
それを覗いてみると、枯れ葉や根の死骸などを食べる虫が集まり、その虫を食べる捕食するムカデなども集まり、そういった虫の死骸を分解するバクテリアがあり、、、と見事な生態系が出来ているのです。
ムカデやダニなどの捕食動物がいて、その死骸を食べる虫もいて、その虫を食べる虫もいて、最後には全てを分解するバクテリアや菌がいる。
1gの土に1億以上の微生物が住んでいて、その微生物も1種類がはこびることはなく、根を襲うカビが増えたと思ったら、そのカビを襲うバクテリアが増えて、、、といって「自然の生態系は独裁者の支配を許さない」というナレーションが流れている通り、無数の生き物で「バランス」が取られているのです。
例えばミミズの糞を覗いてみると、糞だけでも色々な食物連鎖があり、まるで小宇宙のような生態系があるんですよね。
そして、植物の根は微生物が分泌したタンパク質やアミノ酸を根毛から吸収して育つのです。
ちなみに根毛の近くには、根毛の死骸や根毛に寄生する微生物が沢山います。
植物は根を微生物にエサとして上げ、その根を食べる微生物は分泌物を植物に上げている。
つまり「共生」しているんですね。
毎年、このビデオを見て思うのは、「畑も人間の胃腸も同じなんだな~」ということです
最近、「腸内フローラ」という言葉が広がり始めました。
要するに腸の中にいる100兆個を超える微生物で、免疫力や体調が変わる、というものです。
でも、これは科学的に発見したということですが、有機農業の世界では、当たり前といえば当たり前のことだったんですよね。
食べものは、エネルギーになるカロリーと体を作るタンパク質と骨を作るカルシウムといったもので考えられることが70年代から日本でも広がり始めました。
でも、この腸内フローラの話で言えば、食べた食べ物を吸収するのではなく、腸に住む微生物が食べものをエサとして生活をしていて、その微生物が出す最終分泌物が人間の栄養となっている、ということですよね。
例えば、飲む点滴と言われている甘酒は、様々な微生物が排出した分泌物の集合体で、天然のアミノ酸など全部で何百種類も含まれているといわれますが、これは人工的には作れません。
「微生物の力」、ですよね。
腸の中には1,5kgぐらいの微生物が住んでいて、うんちも微生物の死骸が多い、ということですからね
有機農業の世界、つまり「根の国」も同じ。無数の微生物の排泄物が植物の栄養となっているわけです。
さてさて、そんなdvdで土の世界をお勉強した後は、お母さんのいつもの美味しいお昼ご飯
その後は、先月、種を播いたミニトマトやナスの見学。
今年は温床といって、電熱で苗床を暖めていたので、見事に本葉を出ていました
このミニトマトを鉢上げする予定だったのですが、高柳さんいわく「雨天の日はやらないんだ。」とのこと。
その理由を聞くと「雨天の日は根っこが動かない。植物はお日様がピカっとなっていて、初めて光合成や根を動かすけど、ピカっが無いとその生命活動が起こらないから、移植しても根が動かないんだよ」ということでした。
なるほど~。
また、ナスは発芽がしていないところがいくつかあり、「誰が播いたところだ?」などと冗談混じりで話したり、終始和やかな雰囲気。
そんなことをしているとちょうど雨が止んだので、食べられる菜の花を摘み
みなさん、これでもか、というぐらい摘んでいましたよ
次に、もうちょっと畑仕事を、ということで、サニーレタスの収穫。
サニーレタスが出来ているところを見ることも余りないでしょうが、一般的な人は包丁で収穫をする、なんてことや、袋詰めもしたことが無いので、みんな「へ~、こうやるんです~」と驚きの声をあげていました
お土産のサニーレタスを収穫後、カブの草取りを少しし、カブもお土産に
手洗いなどをした後、1時間ほど、「なぜ有機農業なのか?」など、色々な話をして、今回も非常に充実した教室になりました
特に、昔から「どうして環境や食べもののことを話せない雰囲気があるんだろう?」と、今の日本に疑問を持ち、自分が変わっているのかな、と思っていた参加者は、前回に続き、今回も「海外と違って、教えないということを歴史的に決めたからなんですね」と、長年の疑問が解けたようで、とても納得していましたよ。
大人にとって、真面目に話し合う寺子屋のような場所としても、この「食と命の教室」は、必要性を感じます
さて、来月は4月23日(土)開催です
ご都合がつくかたは、是非お越しくださいね~
コメントをお書きください